日本産科婦人科学会学術講演会 産科学及び婦人科学の進歩・発展に貢献するために
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連載コラム 仙台に来る前に知っておきたい学会場周辺のトリビア バックナンバーコラム

その3 臥龍の梅と樅の木

 伊達政宗は、朝鮮出兵(文禄の役)から帰国する際に梅の名木を持ち帰りました。地面を這うように幹が伸びる様は、まるで龍が伏せて頭を持ち上げたように見えることから臥龍梅(がりょうばい)と呼ばれます。持ち帰った親株は政宗の隠居城(若林城)の庭に植えられ現在まで大切に育てられていますが、その場所は宮城刑務所になっており残念ながら一般には非公開です。数年前にTV番組ブラタモリが仙台を取り上げた際に刑務所内の臥龍梅が放映され、仙台市民は驚くとともに大変喜びました。
 その子孫に当たる梅の木は現在でも市内の随所で見ることができます。例えば広瀬川を挟んで学会場の対岸にある西公園にも一本植えられています(写真左)。仙台に来たついでに日本三景の一つである松島の観光に出かけるかたも多いと思いますが、松島の瑞巌寺にも政宗が朝鮮から持ち帰ったと伝承される臥龍梅がありますので、観光の際にはぜひ気に留めていただきたいと思います。
 山本周五郎の代表作の一つに仙台藩伊達家のお家騒動(いわゆる伊達騒動)を題材にした『樅(もみ)の木は残った』があります。1970年のNHK大河ドラマにもなっていますし、民放でも数回ドラマ化されています。従来は悪人とされていた仙台藩家老の原田甲斐が幕府による仙台藩のお取り潰し・乗っ取り計画を知り、藩を守るために自分自身は悪役の汚名を着てでも藩の存続に尽力したという話で、政宗の時代から半世紀後の物語です。甲斐の屋敷は広瀬川沿いで青葉城を一望できる高台にあり、小説の中で甲斐が屋敷から崖を降りて広瀬川で釣りをする場面があります。その屋敷は仙台国際センターから大橋を渡って徒歩十分程度の距離にあり、現在は仙台高等裁判所として使われています(写真中)。そこには残念ながら樅の木は残っていませんが、政宗ゆかりの臥龍梅がひっそりと植えられています(写真右)。 文責 八重樫
カメラマン みゆき


臥龍梅左 臥龍梅中央 臥龍梅右
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